内容説明
注意深く見渡すと、私たちの身のまわりには、じつにたくさんの種類の植物がある。でも、私たちはどうしても、動物のほうに気をとられがちだ。植物が動物といちばん違うのは、動けないこと。でも、動けない植物は、動ける動物以上に、この地球上で繁栄している。植物はじつは、「動けない」のではなく、「動かない」生き方で成功したのだ。環境を変えるのではなく、環境に合わせて体の大きさや形を変えること、枝が折れたり葉がとれたりしても簡単に再生できること…。「動かない」植物の合理的な生存戦略を紹介する。
目次
1章 植物と動物―どこが違うのか
2章 葉の形を決めるもの
第3章 花を咲かせる仕組み―「花成ホルモン」フロリゲンの探索
4章 遺伝子の働きによる花の形づくり
5章 受精のメカニズムをとらえた!
6章 根―植物の隠れた半分
7章 根における共生のいとなみ
8章 4億年の歴史をもつ維管束
9章 成長をつづけるためのしたたかな戦略―頂芽優勢
10章 「第2の緑の革命」に向けて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
トムトム
26
植物のことを知りたい人のバイブルとよんでも過言ではない本です。非常に面白かった!園芸家の書いた植物の本ばかりが出回っていますが、こういう植物学者さんが一般向けに書いてくださる本は少ないと思います。第2章を読んで納得。この本、マイラブ塚谷裕一教授が関わっていらっしゃいました。どうりで分かりやすい訳です♪2021/11/18
ikatin
4
植物学もここまで進んでいることが驚き。環境問題との関連で、今後さらに重要性が増すこと必至。積極的公的支援が望まれる。やや難解な部分があるが、まずは読み物的にさっと読むことをお勧めします。遺伝子の細かい作用機序はあとでゆっくり読むべし。2010/11/07
がんちゃん
2
どうして植物は種類によって葉っぱの大きさや形が違うんだろう。花の形も大きさも違う。なぜなんだろうという素朴な疑問からこの本を手にしたのですが、すべてはズバリ生存戦略だったんですね。いやぁ、その他にも様々な生存戦略が施されていて、何も知らなかった無知な私はページをめくるたびに感動しっぱなしでした。植物ってほんと奥が深い。植物を見るときのこちらの目も変わってきましたよ。2019/06/14
haru
2
★2/5 宇宙の次は植物の本に挑戦!と思ったものの理解できず、またも全く頭に入らなかった。私こんなんで理系を名乗って大丈夫かな(._.)2015/02/07
うりむー
1
表紙は花粉から花粉管が伸びて胚珠に向かっているところ。この実験が成功したことを実証した会心の一枚の写真だったでしょう。とても美しい写真です。植物学者さんたちの苦労と工夫、発見が詰まった本でした。植物は単子葉植物と双子葉植物に分けられるっていうのはもう古い!?に衝撃を受けました。2014/03/14