内容説明
一九世紀半ば以降、リング大通りや上下水道、市営住宅の建設など、先進的な都市づくりを展開してきたウィーン。そこでは自由主義、キリスト教社会主義、社会民主主義の各勢力が対立を引き起こしながら、市政を展開していた。ファシズムによる自治の終焉までの八〇年間の歩みを、住民の暮らしや文化の動向とともに描き出す。
目次
第1部 皇帝と市民のウィーン(都市ウィーンの生い立ち;市民の時代;リング大通りの建設)
第2部 青年ヒトラーのウィーン(政治勢力の再編とキリスト教社会主義;ルエーガーのウィーン;世紀転換期ウィーンの文化と政治)
第3部 赤いウィーン(社会民主党市政;“赤いウィーン”の実験;大都市と住宅政策;“赤いウィーン”の限界)
著者等紹介
田口晃[タグチアキラ]
1944年新潟県生まれ。東京大学経済学部、法学部卒業。北海道大学法学部教授を経て、北海学園大学法学部教授。専攻は比較政治学・ヨーロッパ政治史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まれむりん
6
ウィーン旅行の前に予習で読んだ。歴史と音楽の都orユーゲント・シュティールというウィーン観が取りこぼしている、19世紀以降の急速な都市近代化について細かく追っていける。リンク大通りの壮大な建築物の数々は、何も知らなければ「さすが歴史の街」と思っていただろうが、本書を読むと、その建築様式のチグハグさがよくわかる。 ウィーンは水道水が飲用できる(冷たくて美味しい)珍しい街だが、そのあたりも豪腕ルェーガー市政の遺産だったりするようだ。2014/09/14
圓子
2
ウィーンに行く前に読みました。いろんな意匠の建物がてんでんばらばらなほうを向いて建っているのに、奇妙に統一感があって安定している。。たしかにー!赤いウィーンとかなるほどねーというかんじ。行き過ぎると右も左もおなじようだ。2015/10/13
中村禎史
1
都市ウィーンの20世紀前半までの近代史。三月革命、ハプスブルク統治下の自由主義の時代、第1次大戦、20世紀初頭のキリスト教社会党と社会民主党との対立、後者のウィーン市政など政治史が中心。その間、19世紀半ばのリング大通り他ウィーン都市開発、世紀転換期頃からの工業化進展に伴う労働者の貧困化、これに対するウィーン市政による住宅(団地)建設など、文化史社会史にも言及。その住宅建設はじめ社会福祉事業、教育改革などウィーン市政が社会政策にかなり力を割いていたことが印象に残る。2022/08/02
takao
1
至るところにローマの遺跡があるが全貌はわかっていない。 トルコ襲撃のトラウマか、城壁が壊されるのが遅かった。2017/05/09
kaizen@名古屋de朝活読書会
1
岩波新書愛好会】国境近くのプラウナウで生まれたヒトラーが、18歳から24歳までウィーンで過ごしたとのこと。 ルエーガーという市長がいたとのこと。 赤いウィーンという社会民主党の支配があったこと。 ウィーンを訪れたときの感覚と、ピンと来ていない。 政治に偏りすぎているような気がする。岩波新書一覧 http://bit.ly/12LkZWe2010/03/14