内容説明
戦場でのとんでもない失策から知られざる銃後の混乱ぶりまで。もはや笑うしかないほどの第二次世界大戦の真実の姿。
目次
ジープから原爆へ―戦争の重装備化
味方を狙う兵士たち―精密爆撃の欺瞞
また誰かがドジを踏む―軍事的過失の研究
復員すればフォードがもらえる―戦時の流言
学校で習った町々をぼくらは焼いた―兵士の学校
本棚のまだ読んでいない本―兵士の無名性
鶏のクソ―軍におけるいじめの構造
アルコールを浴び、性に飢える―飲酒と性の実態
サルとサディストとめかし屋と―敵の類型化
何のために死ぬ?―大義名分の欠如〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
72
第二次大戦の英米でも兵士たちは近代戦の凄惨な従軍体験があったが軍や国によって上手く隠されていた。従軍兵士たちの証言や小説などから、等身大の兵士たちの実態を描く。日本の軍隊のとほほな体験談は自国民だから良く聞くのだが、当たり前というか、英米軍でも泥臭く醜い兵士たちの体験は当然あり、それらをテーマに沿ってまとめている。いじめや脱走や性や酒や国や読書などの娯楽や軍の現実を隠すイメージ戦略など。兵士たちが容赦ない現実に対抗するためにか、生み出し発達させた卑語についてなども。良書であるがちとマニアック。2018/05/07
蟹
1
第2次世界大戦の、特に米英の前線と銃後それぞれに焦点を当てて、それがいかに日常を破壊していったかを描く。2次大戦は1次大戦の延長として語られることも多いが、その間にある20年の技術発展は、戦争をより情け容赦のない、非人間的なものに変えてしまった。戦争が社会に与える影響についても、前線における人間心理についても示唆するところは大きい。2019/01/06
キミ兄
0
連合国側にも困窮があったという本。軍隊のくだらなさも見せることで戦争の無意味さを問う。☆☆☆。2013/03/24
がんぞ
0
WW1まで20世紀兵器がどれ程致命的か認識されてなかった。とは言えインフルエンザ死は戦闘より多かった。WW2中は「物量豊か」と思っていたアメリカも実はさすがに石油燃料は不足し耐乏生活を余儀なくされた。その上あるかなきかの日本の米大陸侵攻に備え、大騒ぎ。英国では戦後も生活苦は続いた。戦争で技術が進歩したかとおもいきや、兵器の進化にもっとも貢献したのは民生技術だった。新兵器の試射などテストでは馬鹿げたミステークが付き物。韓国の無様は他国も同様かも。核兵器のKeyは米国は大統領だが、核武装日本では首相が持つ?2012/09/09
nata
0
タイトル通り「戦闘」ではなく、一般市民の生活も含めた「戦争」の現実を、主にWWⅡの英米の側から描いている。なので戦時下での読書を扱った章などもあり、新鮮だった。 著者が英文学の専門家だからか、詩や作家の日記からの引用が多く、引用元が日本人にはなじみの薄い名前であることもしばしばだが、引用されている文自体が面白いので気にはならないと思う。 世の中にあふれているようなお涙頂戴でも劇的でもない、戦争の乾いた悲惨さとでも言うべき現実がよく伝わってくる。2011/08/14