内容説明
迷惑をかけなければ援助交際はしていい?―YESかNOか、あなたの答えはどっち。自分がよければ何やっても勝手じゃないかと考えるのか、いや、そんな自由は許されないと考えるのか。さらに、自由が一つだけでないとしたら、ホントの自由とは何か?カント、ヘーゲル、ニーチェの思考のエッセンスを手がかりに、不倫や援助交際から民主主義信仰や正義論・国家論まで、困難な時代の生き方を考えるための新しい倫理学入門。
目次
第1章 固そうなカントを噛み割って、考える(真の自由とは何だろう;一切を理性の支配下におきたい?;二つの自由と権利の根拠;利己主義の倫理とカント主義 ほか)
第2章 しつこそうなヘーゲルをよく噛んで、考える(愛と所有の運命;家族とは何だろう;相互承認―法・権利の成り立ち;自由主義か、共同体主義か ほか)
第3章 辛そうなニーチェを噛みしめて、考える(口あたりのよい「真理」ではなく;民主主義とは何だろう;民主主義の素性と秘密;世界の見方 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネムル
10
理性一辺倒で理想主義なカントに手厳しいけど、定言命法に則って援交女子を批判するなら相手を完全な手段として利用する買春側をまず批判すべきでは?とか、いつ災害や不況がいつ起こるかわからない状態を皆が「無知のヴェール」をかけられて云々てのは楽天的過ぎるだろ、とかちょくちょく気になってしまうな。倫理学の入門ならともかく、『自分の頭で考える』てタイトルとしては、ちょっと杜撰なような。2022/06/03
gentleyellow
5
昔買って読んだ入門書を再読。かつての自分がほぼ内容を落としていたことを思い知らされる。とりわけ理性・倫理・共同体・民主主義に関する議論は、トランプと安倍の時代であるこの21世紀日本でめちゃくちゃ示唆的だ。2000年から何も世の中は何も変わってない、予想されていた方向に歩いてきたのだということも含めて、最高に興味深い2018/08/18
オランジーナ@
3
利己主義者は自分のためになるから人々と共同して暮らす。過去の伝統を誇るよりも将来安心して住める福祉国家を作ることが国を愛する理由になる等面白い話が多かった。記述も平易で読みやすい。2015/08/07
きひら
2
ヘーゲルの章がとりわけ面白かった。我々を個へと分裂させる制度への不信から、溶け合う愛のようなものを措定したヘーゲルが、そのような相互依存がじつは国家において成立していることへと気づき、制度へと回帰する。2018/10/04
ミカヅキカゲリ
2
面白かった。とくに、ニーチェについてが。勉強するぞ。2013/07/24