ちくま文庫
すぐそこの遠い場所

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  • サイズ 文庫判/ページ数 126p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480039286
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

内容説明

「この事典はね。見るたびに中身が変わってゆくのだよ」クラフト・エヴィング商会の先代吉田伝次郎がそう言い残した書物「アゾット事典」。孫である三代目が、書棚の隅から、この不思議な書物を見つけてきた。遊星オペラ劇場、星屑膏薬、夕方だけに走る小さな列車、エコー・ハンティング、ガルガンチュワの涙という蒸留酒、雲母でできた本、忘却事象閲覧塔…。茫洋とした霧のなかにあるかのような懐かしい場所アゾットの、永遠に未完の事典。

目次

AZOTHという名前について
アゾットの「21のエリア」について
世界の回転について
アゾットの言語
過客
地図と楽譜
回覧板
忘却事象閲覧塔
雲母印書房
21の天使の分け前〔ほか〕

著者等紹介

坂本真典[サカモトマサフミ]
1940年、旧満州チチハル生まれ。カメラマン

クラフト・エヴィング商會[クラフトエヴィングショウカイ]
吉田篤弘と吉田浩美による制作ユニット。テキストとイメージを組み合わせた、独創的な作品を多数発表している。『稲垣足穂全集』『らくだこぶ書房21世紀古書目録』で講談社出版文化賞ブックデザイン賞を受賞。『どこかにいってしまったものたち』、『クラウド・コレクター』、『じつは、わたくしこういうものです』など。また吉田篤弘の著作として『つむじ風食堂の夜』など、吉田浩美の著作として『a piece of cake』がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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つくよみ

84
★☆ 「クラウド・コレクター」の舞台になった「アゾット」の諸々について記した「アゾット辞典」この不思議な世界の魅力的な設定の数々が、なんとも言えぬ味わいのイラストや写真と共に解説されている作品。アゾット世界についての基礎知識、世界を通じての共通事項、各エリア毎の風習や、建造物などについて・・・等等「見るたびに中身が変わる」と称されるだけあって、多種多様な不思議に翻弄されているうちに、読み手のアゾットに対する印象も虹色に変化するよう。この作品単体では面白さ半減なので「クラウド・コレクター」との併読必須。2014/03/16

きりこ

77
クラフト・エヴィング商會が苦心の末翻訳したと言うアゾット事典。この事典と併読するとクラウドコレクターがもっと分かりやすくなると思います。丁寧に再現された数々の空想上の品々はどれもクオリティが高くセンスも良く、写真やイラスト、レイアウトまで完璧に素敵。なかでもクラウドコレクションのボトルや紙石鹸・ガルガンチュアの涙がうっとりするほど美しい。一曲演奏するのに6日間かかると言う交響曲ゴールデンスランバーを聴いてみたい♪それからセスピアンというデザートを食べてみたい(^-^)続く→2014/05/17

ひめありす@灯れ松明の火

76
今回は、随分とすぐそこの遠い場所『アゾット』に長逗留してしまいました。過客の一人として。どれだけのムーン・シャイナーをご馳走になったのでしょう。セスピアンも頂戴しました。詩人と共に雨に打たれて、哲学サーカス団と一緒に空中ブランコをしました。ゴールデンスランバーの一欠片を聞きました。でも、不思議な事に、何も思い出せないのです。アゾットにもう一度行って、あの装置の助けを借りるべきですか。それともこれは幻なのでしょうか。いいえ、そんな事はありません。想像できるものは存在するもの。届かずともすぐそこに、あるのです2015/03/15

へくとぱすかる

69
設定がどこまで本当なのか、わかんなくなる奇妙な本。文学というべきか、それとも美術というべきか。祖父が遺したという(これ自体が創作っぽい)不思議な事典の中身を紹介するという形をとりながら、実は遠い(架空の)世界を語っていく。世界を項目別に語っていくことも、文学の役割であったとすれば、これは立派に、現代によみがえった古い形式の文学であるということになるだろう。もちろんパロディであるところが、現代文学の証。ノスタルジックな詩情を感じる文章の架空性を笑いながら、その実この「アゾット」世界に入れ込む自分に気がつく。2015/08/20

Mumiu

68
からくり箱、おまけやふろくのシール、あめ玉みたいなプラスチックのクリスタルがついたゆびわ。そんなたくさんをたからばこに詰めたひとつひとつに触れているような本。行きたい行きたいと思っていたらなかなか遠く、意識していないときにふと入り込んでしまうような世界。ただの事典に過ぎないのに、ロマンチックでウィットに富んで、滑稽味溢れたアゾット。誰もが過客となって訪れうる世界、旅の思い出にはぜひ白手袋を。2016/05/02

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