出版社内容情報
(早川庄八)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mentyu
1
一般向けの通史シリーズで、奈良時代を扱うといったら、できごとを年代順に羅列するか、宮廷のドロドロした政争を人間ドラマとして扱うかのどちらかになることが多い。一方、この本では律令国家を日本史の中でも特殊な時代として設定し、特に近代以降の日本との類似を念頭に置いて筆を進めていく。そう、筆者は古代を扱っているようで、実はそこに現代を見出そうとしているのだ。だから当時を生きたあらゆる人々が、時空を超えて生々しく感じられる。実証主義を下地にしながらも、歴史を現代への「鑑」にしようとする態度には共感を覚える。2017/04/19