内容説明
「天下布武」の理念を掲げて、ポルトガル商人やイエズス会をはじめとする南欧勢力のために立ちあがった信長は、彼らによって抹殺された―。信長研究に新風を吹きこんできた注目の研究者が、この驚愕の結論を本書で導きだした。信長が使用した印章「天下布武」印と「スカラベ」型の古代エジプトの印章の類似性、覇業をささえた「天下布武」という言葉の意味、信長上洛に暗躍した要人たちの人脈研究、当時の数多くの日記の分析等から、従来の研究では考慮されることがなかった信長の全国制覇と南欧グローバリゼーションの密接な関係を浮き彫りにする画期的論考。
目次
第1章 「天下布武」前史
第2章 「天下布武」の誕生
第3章 「天下布武」と決勝綸旨
第4章 「天下布武」の出発
第5章 「天下布武」と南欧勢力
第6章 「天下布武」の破滅
著者等紹介
立花京子[タチバナキョウコ]
1932年東京生まれ。東京教育大学理学修士(数学)。朝日カルチャーセンターの古文書講座(林英夫講師)を九年間受講。その間、一橋大学の池享教授、神奈川大学の三鬼清一郎教授のゼミに参加しながら、独学で戦国史を研究。1991年「信長への三職推任について」(『信長権力と朝廷』所収)で、信長研究のパラダイムを一変させる。2002年博士号(お茶の水女子大学、人文科学)を取得
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感想・レビュー
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なつきネコ
8
細川藤孝はスゴいかも。天下布武の観念を頼朝から構築したとすれば、戦国を終わらせた理想家かもしれない。当時の朝廷や、清原氏の関係は納得。本能寺の朝廷側の原因をグレゴリオ暦導入だと考えるのはいい。元号はいいなりだが閏年ケチつけるのは末転倒。しかし、本能寺黒幕をイエスズ会はない。日本において黒幕にするには力不足。さらに信長を邪魔になり、宗教オンチの秀吉を押すのは後のキリシタン弾圧を考えると弱い。光秀の祖が源頼政であり、朝敵討伐に立ち上がった指摘は納得できる。しかし、本能寺の藤孝の行動納得がいかない。2016/12/06
kurayamadasoga
7
完全にトンデモ本です。2004/09/12
鈴木誠二
5
うーん……いろいろ注目すべき視点や指摘はあるものの、最初に結論ありきで、それに向けて強引に資料を解釈しているような感じが気になって仕方がありませんでした。具体的なソースまでたどれませんでしたが、作者は後に、この本での自説「本能寺の変~南欧黒幕説」を撤回したようです。2016/09/22
Berlin1888
3
再読。本能寺の変=国際陰謀論を代表する一冊。刊行当時は大ヒットしたものの、いまや顧みられることもない現状が本論に対する評価を明快に物語っているといえるはず。それにしても本能寺の変に限らず、日本国内の事件の原因を海外に求める大風呂敷な説が出てくるとホイホイ食いついてしまう人たちが絶えないのは何故なのか。現在流行りの「日本スゴイ」的なホルホル論とも一脈通じるところがあるように思える。著者立花京子氏はすでに故人とのことで、本書への評価は別にして、御冥福をお祈りいたします。陰謀論ともども、もう迷い出てこないでね。2017/12/26
akakura
3
信長に釣られて読んだ