内容説明
翻訳家・愛猫家として名高い著者が、辞書を読みよみ、ビールを読みのみ、口とマウスを動かして、ことばの世界に没頭する。ポチの語源に回文指南、酒と将棋と麻雀、競馬…。多彩なテーマと切り口で辞書を読物としてとらえ、ことばのエッセンスを紡ぎ出す、読んで愉しむエッセイの名品、81篇。
目次
辞書の愉楽
愉楽のための語彙選(ユリシーズ;隔靴掻痒;ヒキガエル;七冠王;将棋戦法大事典;アリー・スロウパー;ゴキブリ ほか)
国語辞典進化論
著者等紹介
柳瀬尚紀[ヤナセナオキ]
英文学者、翻訳家。1943年、北海道根室市生まれ。早稲田大学大学院博士課程修了
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感想・レビュー
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KAZOO
40
フィネガンズ・ウェイクなどの訳で知られる著者が、おもに日本語関連のことばや辞書についての薀蓄を教えてくれます。やはりかなりの博識でこの言葉はどの辞書で引いたのがいいかを親切に教えてくれます。英語関連はやはりOEDが多いですね。私も縮刷版を持っているのですがもっぱら飾りにしています。まあ辞書を読むのは本当に楽しいです。2015/03/15
kochi
20
子どものころから辞書好きで、国語辞典一冊ぐらいなら三日もあれば全部読んでしまうという著者が、古今東西、あらゆる分野の辞書について愛情をたっぷりと取り上げた連載をまとめたもの。数えてみたところ、90種類の辞書が取り上げられ、一番言及の多かったのは、小学館『日本国語大辞典』の22回。『広辞苑』『大辞林』が14回で並び、OEDが13回で続く。著者はジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』の訳などで有名だから、これは意外。翻訳するには、日本語も大事ということ? 大江健三郎の広辞苑にまつわる神話がなかなか興味深い。2019/06/23
キムチ
6
非常に面白い辞書にまつわるエッセイ。こんな面白いエッセイを書くためには著者ほどの量の辞書を身にしなくてはならないのか。2017/06/20
びすけっと
6
2003年3月刊。初出 本の旅人。タイトルの「辞書」という言葉のマジックに引っかかったというのが正直な感想。辞書=国語(日本語)辞典にあらず。英文学者、翻訳家である著者が日々駆使するさまざまな辞典、事典、辞書と言葉の採用を編んだ一冊でした。巻末の「愉楽のための語彙選」「国語辞典進化論」は楽しめました。さまざまな辞典、開いておいておく方が長持ちするようにできているとは驚き。上記と「七(シチ)冠王」(p.15)以外は駆け足でした・・・2015/05/12
袖崎いたる
5
辞書魔の柳瀬尚紀さんが日々に思うところを寄せたもの。感覚を表現しようとすることばには舌を巻く。いずいを定義しようとして、「窮屈と不自由とぎこちないのとがしばれかけたやうな感じ」とくる。解像度高いわ。2020/01/21