内容説明
特定の社会で、制度が確立してくると、そこで通用する文書にも特定の形式が定められてくる。江戸幕府は、家光の時代に制度が確立した。そこでは、公式の文書(老中奉書)のほかに、非公式に家光によって特定の人脈に結び付けた内々の伝達ルート(内証)が設けられていた。主君と信頼関係で結ばれた出頭人たち、徳川家康のブレーン、家光のお気に入りの側近、彼らを通じて非公式に上意が伝達されていく。将軍の真意は何か。将軍をめぐる内証の人脈ルートが語る江戸幕府制度形成期の裏面史がみえてくる会心の好著。
目次
第1章 人づての問答
第2章 奉書という将軍の命令
第3章 家光に直結した内証という伝達
第4章 将軍の意向と側近による大名指導
第5章 出頭人という将軍のお気に入り