角川文庫<br> 緑の檻

角川文庫
緑の檻

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  • サイズ 文庫判/ページ数 277p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784042541172
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

グレイは本を一冊著わしただけの売れない作家。緑の小径の奥にあるコテージに一人住み、電話も受話器をはずし、まるで世捨て人のような耐乏生活を送っている。そして電話は、彼を怯やかすものの象徴であった。それはいつ息を吹き返し、美しい人妻、ドルシラとのすでに終ったはずの“危険な関係”にふたたび火をつけかねないのだ…。二人の間には、果されないままに終った或る企てがあった。とうに葬りすてたはずのそれが、やがてグレイを閉じこめる恐ろしい罠に変貌をとげようとは、彼には知る由もないことだった―。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hit4papa

37
落ちぶれた文無し作家が出逢ったのは裕福な美しい人妻。まさに典型的な毒婦は、主人公を翻弄しお約束通り旦那の殺害をほのめかします。金なし仕事なしの冴えないダメ男のねちっこい描写で、どん底気分を味合わせてくれるレンデルのノンシリーズです。絶対騙されてるじゃん!と思わせるものの、罠のハマり方に興味津々で読み進めます。並行して語られる主人公と母親、義理の父との関係に絶望感がましまし。異常心理ものじゃないけど、精神的ないたぶられ感は、ちょっとしたホラーですね。結末はそっちか!、と思うものの上手くまとててくれて満足。2019/05/23

Tetchy

13
レンデルはダメ男の心情を描くのが上手い。身近にモデルがいるのかと思うくらいリアル。主人公グレイの生活ぶりはとことんダメ男ぶりを発揮していてある意味爽快。今回作者は大人になりきれない人に対する警句を書きたかったのだろう。後半作中で繰り返されるのはもう子供ではないんだという言葉からもそれが読み取れる。しかしミステリとしては小粒。あの人物の犯罪計画は見え見えだし、冤罪を被せられた男から描いた作品でその趣向は面白いのだが、あまりに単純すぎた。しかし1974年の作品だが、今の男どもを語っているようなのがスゴイ。2012/09/18

きりぱい

5
ミステリーを読んでいるのかわからなくなるほど事件が起らない。格別の幸せを与えてはくれるが、手にも余る女を愛してしまった売れない作家。やっと事件が発覚しても察しが悪い。後味はいいけど、男のぐじぐじが長かっただけに、愛情の存在自体まで疑い出すと苦いなあ。2010/08/28

nightowl

3
女々しい男の引きずる未練を延々と書いた作品。結末は当然の結果?

madhatter

2
再読。初読の際、全体の三分の二が主人公の別れた女に対する未練に割かれているため、些か冗漫な気がしないでもなかった。しかし、この鬱陶しい繰り言と回想のなかに、終盤に発生する事件の伏線が仕込まれているのが、地味ながら面白い。また、真犯人の真意が本人の口から明らかにされないのが印象に残る。あれは「可愛さ余って憎さ百倍」的な復讐なのか、それともはなから利用しようとしていただけなのか、また、自らと同じ状況に他人も陥れたい無差別の悪意なのか。多様な想像を許してしまう、この不明瞭さが怖いと言うなら一番怖い。2011/04/23

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