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日本海軍と政治(講談社現代新書 2299) 

手嶋 泰伸  著

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価格 \880(税込)         

発行年月 2015年01月
出版社/提供元
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 218p
大きさ 18cm
ジャンル 和書/人文科学/歴史学/日本史
ISBN 9784062882996
商品コード 1016932501
NDC分類 210.6
基本件名 日本-歴史-近代
本の性格 学生用
新刊案内掲載月 2015年02月5週
書評掲載誌 日本経済新聞 2015/04/05
商品URL
参照
https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1016932501

著者紹介

手嶋 泰伸(著者):1983年宮城県生まれ。
 東北大学文学部卒業、同大学大学院文学研究科博士課程後期終了。日本学術振興会特別研究員・東北大学非常勤講師を経て、現在、福井工業高等専門学校一般科目教室助教。 博士(文学)。
専門は日本近代史。
著書に『昭和戦時期の海軍と政治』(吉川弘文館がある。

内容

海軍の太平洋戦争への責任は陸軍に比して軽かったのか? 明治憲法下において政府・議会と並ぶ国家の主柱であったにもかかわらず、その責任を十分に果たすことのできなかった海軍の「政治責任」を、「不作為の罪」をキーワードに検証する。これまで顧みられることの少なかった「海軍と政治」の問題をはじめて正面から問う問題の書。


なぜ日本は無謀な太平洋戦争に突入してしまったのか? その大きな原因の一つに軍部の暴走を上げる人は多いでしょう。しかしこの問題では、陸軍に比して海軍が批判されることは少ないように思われます。では、本当に海軍の責任は軽かったのでしょうか? 著者の結論は、確かに海軍は陸軍に比べると直接、政治に容喙することは少なかった。しかしそのことをもって戦争突入の責任がなかったとは言えない、というものです。「責任」は、なすべきことがあったのにそれをやらなかった場合にも問われるべきではないでしょうか。いわゆる「不作為の罪」です。海軍の場合、この不作為の面での責任が非常に大きいのです。海軍には、常に陸軍の後塵を拝しているという意識がありました。そのため陸軍に対する対抗意識は非常に強く、予算獲得に際しては常に陸軍と張り合うような行動を取ってきました。戦前日本は、陸の仮想的であるソ連には陸軍が、海の仮想的であるアメリカには海軍が主になって対抗することになっていました。ということは、太平洋戦争が海軍を主とした戦争になることは明らかでした。しかし海軍は、戦争突入の直前まで火中の栗を拾うことをいやがりました。山本五十六だけでなく、対米戦争になれば日本海軍が負けることは上層部にはわかっていました。しかし、海軍には、「負けるので戦争はできません」とは口が裂けても言えませんでした。これまでずっと、対米戦のためと称して陸軍に対抗して予算をぶんどってきたからです。また山本にしても、仮に負けるにせよ、どのように負ければいいのか、終戦に至るプロセスのイメージは全く持っていませんでした。自分の「部署」のメンツを保つために戦争に突入したとさえも言えるのです。現代のお役所が省益の確保に汲汲として国民のことは全く視野に入っていないのと同じ構造だといえるでしょう。本書は、従来、陸軍に比して語られることの少なかった「海軍と政治」の問題を、「不作為の罪」をキーワードにすることによって明らかにするものです。そして、明治憲法下においては政府・議会と並ぶ国家の主柱であったにもかかわらず、その責任を十分に果たすことのできなかった海軍の「政治責任」が、はじめて正面から問われることになるでしょう。

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