出版社内容情報
「よそと同じが一番アカン」「枯れた技術の水平思考」「ちゃぶ台返し」──。常に新たな「驚き」を生み出し、淘汰の激しい世界で独走し続けるための「哲学」や「方程式」を経営トップらに独自取材。これまで公にされてこなかった同社の経営の中身に迫る初の書!
内容説明
任天堂だけが持つ独自の哲学とは。その源流とは―。娯楽に徹せよ。独創的であれ。なぜ世界中が夢中になるのか?快進撃の秘密を解き明かす。
目次
プロローグ 「100年に1度」に揺らがず
第1章 ゲーム旋風と危機感
第2章 DSとWii誕生秘話
第3章 岩田と宮本、禁欲の経営
第4章 笑顔創造企業の哲学
第5章 ゲーム&ウオッチに宿る原点
第6章 「ソフト体質」で生き残る
第7章 花札屋から世界企業へ
第8章 新たな驚きの種
エピローグ 続く“飽きとの戦い”
著者等紹介
井上理[イノウエオサム]
1974年静岡県生まれ。1999年慶應義塾大学総合政策学部卒業、日経BP社に入社。『日経コンピュータ』編集部の記者として、IT業界の動向や、ネット革命などを取材。2004年、『日経ビジネス』編集部に配属。自動車業界、IT業界、流通サービス業界などを担当。約3年間にわたり任天堂関連の取材活動を続けた後、2009年、「日経ビジネスオンライン」の専属記者となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kawai Hideki
69
任天堂の「娯楽原理主義」に迫る良書。花札屋時代から連綿と続く「娯楽に徹せよ」の教えが特に興味深かった。面白くないとすぐ見捨てられる娯楽産業だからこそ、他社がやってない独創的なことに取り組むし、UIのスピードや操作性も磨きこまれる。その結果、人に驚きと喜びを与え、洗練されたソフトウェアやコンテンツが生み出されるという。横井軍平氏、宮本茂氏、岩田聡氏らの才能を発掘した山内溥氏の経営哲学とその凄みもよく迫っている。本書の発行は2009年だが、2017年のニンテンドースイッチ発売後の動きも読みたいものだ。2018/08/16
mura_海竜
53
京都にある任天堂。数々のヒットを生み出すカリスマや社風などこれからの会社の生き残るヒントがちりばめられている。本当にソフト路線。ハードでない。ソフトが主でハードは従。中興の祖で英断の山内相談役やゲームウォッチやウルトラマシンの開発者横内さん、当時の山内社長から引き抜かれた現岩田社長、ピクミンやスマブラ(スーパーマリオブラザース)ヒットの宮本さんのそれぞれの役割と自由な発想力。昔のゲーム名やエピソードが出てきて面白い。Wiiが「お母さん至上主義」の発想から来ているのは知らなかった。2013/10/30
Y2K☮
30
最先端の技術を追うことだけがビジネスの正解ではない。たとえば「枯れた技術の水平思考」。古いものでも組み合わせや使い方次第でいつでも新しさを纏える。スティーブ・ジョブズがiPhoneにゴリラガラスを採用したことや、武藤敬司がドラゴン・スクリューを足4の字固めと併せてファンを熱狂させた事実がその有効性を証明している。あるいは「ソフト体質」。高機能&高品質をより安くのハード体質ではなく、あくまでもコンテンツの面白さと驚きで勝負するという熱意。生活必需品ではない娯楽商品を扱うからこその矜持は書店業にも応用できる。2023/04/20
ミライ
28
現在「Nintendo Switch」で業界を席巻する「任天堂はなぜ強いのか?」に関して、経営の中身に迫った本。過去の経営トップに直接取材しているので、内容はすごく濃い。任天堂といえば、常に順風満帆のようなイメージがあるが、実は栄光と挫折の繰り返しで成長してきた会社なんだろうなと納得させられる内容。今作は「花札時代〜Willまで」の話なので、WiiU以降のネタは入っていない(続編が発売されたらぜひ読みたい)。2018/07/22
Y2K☮
26
2009年の本を古く感じてしまう衝撃。岩田社長も亡くなっている。ただ社名の意味や横井軍平氏の「枯れた技術の水平思考」、そして容量や音や映像美ではなく単純な面白さこそゲームの基本という考え方が励みになった。マーケティングの着眼点も参考になる。確かに「ゲームばかりしてないで勉強しなさい!」という一家の母を味方にできたらこれは強い。では「小説ばかり読んでないで…」という声を味方にできる小説って何だろう。実用小説? 違うな。揺るがぬ軸はシンプルな娯楽ということ。楽しく読めて結果的に有意義な何かを得られる形を探る。2020/10/21