内容説明
政権交代を進化させよ。自民党が積み上げた政権運営の知恵とは何か。「改革」を掲げて求心力を維持する手法に、もはや有効性はない。官邸機能強化と省庁再編を分析して現代日本政治の難点を剔抉し、政権交代を重ねながら政治が前進してゆくための方途を呈示する。
目次
第1章 自由民主党「長期政権」の確立
第2章 政治改革と「改革の時代」
第3章 小泉内閣はいかに「官邸主導」を作り上げたか
第4章 官僚制の変容
第5章 公務員制度改革はなぜ停滞するのか
第6章 進化する政権交代
著者等紹介
牧原出[マキハライズル]
1967年、愛知県生まれ。東京大学法学部卒業。東京大学法学部助手、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス客員研究員、東北大学大学院法学研究科教授を経て、東京大学先端科学技術研究センター教授。博士(学術)。専門は、史料の分析とオーラル・ヒストリーに基づいた政治学・行政学研究。著書に、『内閣政治と「大蔵省支配」』(中公叢書、サントリー学芸賞)、など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
18
一党独裁。独裁が長く続くとロクなことにはならない。長期化した後、突如として民は無政府状態でどうしたらいいのかわからなくなる。それはエジプトなどの内乱になっていることからわかる。日本の政党政治はどうか。護送船団方式の時代なら自民党のような基幹政党がぐいぐいとやれたが、人口減少、没落日本には他の政党が出てこないとまだ贅沢したい公務員を養うことはできない。中曽根内閣と小泉内閣がわたくしの人生で影響を受けた。両親は中曾根に、わたくしは小泉構造改革で。第5章の公務員制度改革。アベノミクスでは全く聞かれないのは奇妙。2014/01/27
バーニング
3
55年体制の確立と安定、そして瓦解を経たポスト55年体制に至る現在までの権力(政権)移行の道程をオーラルヒストリーの手法で整理しつつ、来るべき政権交代が日常化した日本政治の未来を見据えている価値ある一冊。2013/12/31
陸奥☆独り旅
3
これは好著。自民党政権誕生から二度の政権交代、民主党政権瓦解まで、その政策決定・実行過程を党―内閣(官房)―官僚機構の力学を軸に平易に解説。省庁再編を経て、今後政権交代をスムーズに実現させるための官僚機構と政治の関係の在り方に論は及ぶ。小泉型「官邸主導」が生まれたプロセスの解析や、官僚機構を内務行政型、大蔵・財務主導型、経済産業政策型の各ネットワークに分類し、各々が盛衰しつつ政策決定過程に関与してきたとする分析は面白かった。しかしNHKブックス、売り方が下手すぎるだろ。2013/09/16
Haruka Fukuhara
2
さっきの本が大分学術的で重厚な装いだとすると、こちらは比較的軽い読み物風。放送大学のテキストは別にあるけど、今集中放送してる日本政治外交史講義の副読本的に使えそうな感じの本。何となく著者の関心領域がわかってきた気がする。2017/03/21
ryooyr
1
自民党誕生から政権交代を挟んで第二次安倍政権までの政治史と、民主党による政権交代が何故失敗したのかについての分析。民主党の失敗にかかわらず政権交代は必要で、そのためのシステムを作るべきだという主張はよく分かる。アマチュアリズムとバッシングが改革のための障害になっているというのも分かるが、私は筆者ほどその克服に楽観的にはなれない2013/12/01