内容説明
ドン・キホーテといえば、風車に突進するあの騎士かと、誰もがイメージを浮かべることができる。本書は、作品の全体と細部を丹念に読み解きながら、われらが遍歴の騎士の魅力に新たな光を投げかけるものである。従者サンチョ・パンサはもちろん、イエス・キリスト、芭蕉、フーテンの寅さんらを招き、この、人間の想像力が生みだした最高の果実をより深く味わおうというのである。愉快で斬新なドン・キホーテ入門の決定版。
目次
第１章 『ドン・キホーテ』誕生―セルバンテスの異常な生涯
第２章 どんな小説なのか―食後の会話にふさわしい文体
第３章 何が新しいのか―男性中心主義からの脱却
第４章 パロディーの饗宴―イエス・キリストとドン・キホーテ
第５章 世界大劇場―神々しい狂気
第６章 サンチョ・パンサの冒険―“生”の創出
第７章 旅人ドン・キホーテ―全世界を異土とする遍歴の騎士
第８章 ポエジーに命を賭ける―芭蕉とドン・キホーテ
第９章 旅浪のアンチ・ヒーロー―フーテンの寅さんとドン・キホーテ
第１０章 題名の謎―人格とは何か
著者等紹介
牛島信明［ウシジマノブアキ］
１９４０年（昭和１５年）大阪に生まれる。東京外国語大学スペイン語学科卒業。マドリード大学大学院修了。東京外国語大学外国語学部教授などをへて、現在、琉球大学教授
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
36
『ドン・キホーテ』に少しでも興味のある潜在的な読者は、本書を読むと『ドン・キホーテ』を読みたくなります。他方で、本書を読むだけで『ドン・キホーテ』を結果的に読まなかったとしても、示唆に富む各論点はある意味完結しているともいえます。２章では解読史のように、クンデラとナボコフが相反する評価をしていることや、ドイツ・ロマン派がドン・キホーテの詩的側面とサンチョ・パンサの散文的側面の葛藤に神の世界に対する人間の運命のアイロニーを見出したという明快な説明や、アメリコ・カストロ『セルバンテスの思想』が２０世紀に入って2019/01/06
きゃれら
24
岩波文庫「ドン・キホーテ」訳者による、ドン・キホーテの解説書。原著の魅力を分かりやすく伝えてくれる。読んで魅了されたばかりの自分は、そう！そう！そう！とうなずきまくり首が痛くなるほど。芭蕉や寅さんとの比較はやっぱりちょっと強引だけど、説得力は充分に持っている。世界の大文学家たちが「ドン・キホーテ」からいかに影響を受けているか、受け続けているかも腑に落ちた。原著が気に入った人は必読と思うけど、今この本は品切れ？もったいない。図書館にはあると思うので、ぜひどうぞ。2022/06/12
拓弥
6
本書を読んだことで、自分の読書力のみでは読み解けない様々な面を知ることができ、ドン・キホーテの物語がますます好きになった。 作者セルバンテスとドン・キホーテの繋がりや、ドン・キホーテがどんな小説でどんな部分が面白いのか、どういった点でここまでの名声を得たのかが本当に分かりやすく書かれている。 本編と加えて絶対読んだ方が良いと心から言える。 本著を読んでからもう一度本編を読み直したら絶対さらに本編を深く味わえると思うが、あの長さをもう一度読み直すには少し勇気がいるので先延ばしにするが、死ぬまでに必ず読みたい2021/01/10
nxjvy
6
私はバレエを長く続けていて、バレエの舞台のドン・キホーテに出会いました。バレエ版ドン・キホーテはドン・キホーテが主役ではあるものの、メインの踊り手ではないのですが、それでも私は本当にドン・キホーテというキャラクターに魅了されました。もっとちゃんと知りたいと思い立ちこの本を手に取りました。これからバレエでこの演目を理解して踊りたいと思っている人にはとても良い材料になると思います。とても楽しかったです。2020/11/03
borug
3
またドン・キホーテが読みたくなった。2016/03/17
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- 和書
- 野生のエルザ 文春文庫
