内容説明
文学の一ジャンル「エッセイ」は、モンテーニュが一五八〇年に著した『エセー』に始まる。三八歳で官を辞し、引きこもった自邸の読書室から生みだされたこの本は、十六世紀フランスの社会変動と戦乱を背景に、司法官、市長として直接得た体験と古今の書物の知識から織りあげられている。そこには人間の生きる意味についての模索、「エセー」が実践され、現代の問題群を前にする読者に新たな生きる糧を与えてくれる。
目次
1 『エセー』という本
2 「読書室」のなかで
3 テクストを編む
4 孤独と憂うつ
5 自分を描くとは
6 探索のスタイル
7 表現のいろいろ
8 相手と仲間と
9 晴れやかな知
10 信仰の名のもとに
11 生活と生存の条件群
12 ひろがる地平線
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
左手爆弾
2
入門書や解説書というより、「エセー・ア・ラ・カルト」といった感じ。本書自体もエセー風の美しい文体で書かれている。美しすぎて眠たくなる。ボルドーの一地方で作られたあまり印刷技術の高くない『エセー』が、いかなる問題を含み、どのような方法論がとられているかに注目。モンテーニュは一般的な話ではなく個別的な対象を比較しながら考察。知識量よりも物事への判断力を重視。「essai試し」としての性格を持ったこの書は、ある種のパースペクティズムに貫かれていることになる。2016/02/02
陶符
0
通勤電車の中でチマチマ読んでたが。 正直、どんな読者を対象としているのかイマイチ掴めずじまいであった。新書なので、入門書・案内書の類と思って文字を追うと、筆者の、熱いモンテーニュ礼賛にすっかりやられてしまう。かと言ってちゃんと読み込む人にはいささか物足りない内容か? この作品自体がエセーに倣って、門を潜ろう人を選ぶようだ・・・。2015/11/12