出版社内容情報
この悠久の自然の中にあって,そもそも人間とはなにか.この問いに古来,多くの人がさまざまに答えてきた.考えるとは,感じるとはどういうことか.意識とは,自然とはなにか.存在とは,無とは? そして,「私」とはどういう存在であるのか.人間存在にかかわる根本問題について,日常感覚に即して語った哲学的思索の書.
内容説明
この悠久の自然の中にあって、そもそも人間とはなにか。この問いに古来、多んの人がさまざまに答えてきた。考えるとは、感じるとはどういうことか。意識とは、自然とはなにか。存在とは、無とは?そして「私」とはどういう存在であるのか。人間存在のかかわる根本問題について、日常感覚に即して語った哲学的思索の書。
目次
1 中間者
2 考える葦
3 考える
4 感じる
5 知・情・意
6 霊魂
7 こころ
8 意識
9 …について
10 自然
11 自然から存在へ
12 存在
13 存在を問う者
14 無はどこから来るか
15 現象
16 無は存在につきまとう
17 無の種々相
18 もはや…あらぬ
19 いまだ…あらぬ
20 私は何であるか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さえきかずひこ
4
著者晩年の哲学エッセイ集。やさしい存在論入門でもある。病気を挟んで書かれたからか内容にいちぶ重複が見られる。存在と無をめぐる話を多くしていて、無について考えるきっかけになった。それにしてもサルトルの無化するという意味を初めて知ったわたくし。サルトルにはハイデガーほどの関心が持てないままだなとふと思った。2017/04/19
amanon
2
タイトルに相応しい哲学エッセイ集。本書で直接言及されることはないが、著者は少なからずアランを意識していたのでは?と思わされる。時折難解で抽象的な箇所が見受けられるものの、一章が十頁程なので、さくさく読み進めることができる。ただ、サラッと読み終えるだけではなく、気になった箇所には傍線を引いて折りにふれ読み返すという読み方をしたほうがいいだろう。それから、終盤で語られる今は亡き教え子夫婦の回想、そして後書きで語られる闘病生活の中での執筆体験がなんとも言えず重い。本書が著者の晩年の著作であるだけになおさら。2016/07/31
オランジーナ@
1
抽象的でわからなかった2019/03/31
なりた
0
再読2015/02/10
aki
0
『実存主義』『死の思索』に続く、松浪信三郎の岩波新書3番目の著作。前2作は新書版にもかかわらず、骨太の力作だったが、本書は最晩年の作品ということもあって「枯れた」味わい。「中間者」「考える葦」「考える」「感じる」などのお題をもとに、種々論じるスタイル。脳梗塞で倒れた後、書かれた数節「無の種々相」「もはや・・・・・あらぬ」「いまだ・・・・・あらぬ」は西洋哲学では収まりが悪そう。かつて存在していたが、いまはないもの、未だ存在していないが、顕在化する可能性があるものと考えると、仏教の空の思想そのものなのだが。2011/03/04