出版社内容情報
20世紀最大の哲学者とも評され,また難解で知られるパースの思想を,言語学・記号学の立場から丁寧に読み解き,それが人間存在そのものの在り方を問う豊かな「意味の思想」であったことを明らかにする.全体像を浮彫りにする.
内容説明
アメリカ哲学、現代記号論の先駆者として知られながら、難解さの故にこれまで必ずしも十分理解されてこなかったパース。本書はその思想を記号論・言語学の立場から丹念に読み解き、それが人間存在そのものを問う「意味の思想」であったことを究明する。フンボルト、サピア、ウォーフら言語思想の巨星を認知言語学とともにパース記号論の中に再定位するとともに、ソシュールとの比較を通してパースの思想的射程の長さを浮彫りにする。パースの記号論が、感性/理性、自然/人間、物質/生命、意識/無意識、自己/他者、生/死など対立しあうかに見えるものを連続的・統一的に了解する優れた方法であり、宗教と科学、東洋と西洋、人間の心の働きと精神病理等についての理解を深める数々の洞察を秘めたものであることを明らかにする。
目次
第1章 パースの記号論(パースの重要性;パースの難解な文体;パースの経験と学説の変化;パースを支えた人々)
第2章 パースの記号論と言語学(パースとソシュール;認知言語学との関係;「サピア=ウォーフの仮説」をめぐって;シネキズムと解釈の類型)
第3章 ことばと意識(日本語とコミュニケーション;ノンセンス―『不思議の国のアリス』の場合;ことばと存在論)
補論 老荘の思想
著者等紹介
有馬道子[アリマミチコ]
1941年生まれ。大阪市立大学大学院修士課程修了。専攻、英語学、一般言語学、記号論。著書に「記号の呪縛―テクストの解釈と分裂病」「心のかたち・文化のかたち」「ことばと生命」。訳書に「言語・思考・実在」「言語と人間科学」「言語の相対性について」
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