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出版社内容情報
山内明美[ヤマウチアケミ]
著・文・その他
内容説明
「東北」って、いったいなんだ!?―もしかするとそれは、架空の場所?そして幻想の呼び名?3.11以降、あたりまえに語られるこの名称の起源と、「まん中」との関係の歴史を、じいちゃん、ばあちゃんの声なき声を交えてやさしく説き起こしながら、「原発」大国日本が切り捨ててきた事実をみつめる。まったく新しいスタイルで語られる、宮城出身の俊英による異色の日本近代史と、私たちのゆくえ。
目次
はじめに 東北学ってなんだ?
第1章 自分がここにあるということ
第2章 こども百姓
第3章 田舎と都会
第4章 コメ男の話
第5章 将来の「東北」
著者等紹介
山内明美[ヤマウチアケミ]
1976年宮城県生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。現在、一橋大学大学院言語社会研究科博士課程在学中。専攻は、歴史社会学、日本思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
49
東北学という言葉を初めて知った。東北地方に関わることでもあり、それを超えた、いわゆる地方と中央という視点でもある。それぞれの場で生きることの意味が根本にある。それは、生き物としての人間を考えることでもある。どうしても、原発を避けて通れない。安全神話(欺瞞だらけ)が真実ならば、中央につくればいいのだという思いがある一方で、何故、ここに行き着いたのかということも。2021/04/29
じゅん
18
東北地方にコンプレックスを感じ過ぎている面があるものの、同郷の出身者として、村社会における掟やお年寄りの絶妙な語りなど共感が出来る本でした。十数キロ離れた学校に通うなど、うちの祖父もそうでした。歴史の中で繰り返し自然災害に苛まれてきた土地、蝦夷征伐や戊辰戦争によって不利益を甘んじてしまった人々。歴史に名を残していないけど、ご先祖様が代々紡いできた血筋をのお陰で我々は今生きている事を誇りに思う。東北地方の話だけに捉われず、様々な対立軸としての考え方も提起しているので、全国の子供達に読んで貰いたい。2015/01/10
ユウキ
14
感想を書くのがとても難しい。もちろん、とても面白かった。でもそれ以上に猛烈にモヤモヤする。このモヤモヤは一日経っても全然消えない。しかもそのモヤモヤをうまく言語化できない。私も東北の生まれだ。だからかつてエミシの地として存在し国内にある異郷であった東北が「植民地」とでもいうべき扱われ方をごく近年までされてきたことをよく知っている。金の卵、なんてもてはやされた集団就職も企業の側では「人買い」なんて称していた。戦争も悲しくなるほど負け続けた。アザマロの乱につづく、坂上田村麻呂とアテルイの戦争。前九年、後三年の2018/04/02
SARU
11
わたしは生まれ育った場所がいわゆる都会。故郷や住んでる場所が、都会と田舎で、凄いとか恥ずかしいという差を感じさせる内容のところは馴染めなかった。分かる気もする、しかし自信を持てることの方が遥かに多いように思うのだけど。このような違和感を感じる理由がイマイチ分からない点で、知識不足、想像力不足なのだと感じた。なんだか恥ずかしい。目の付け所が本書の意図とするとことズレたな、話が逸れました。私たちは厳しくも素晴らしい自然や土地の強さや生活や希望を、未来に残せるかな。悲しみを作り出さないように。2013/03/15
よしどん
11
『東北』という言葉に場所以上のことを感じていなかったので、ここでの言葉が痛く心に刺さった。その場所に生まれ育った人にしかわからない心境なのだと理解するしかなかった。震災でテレビなどで取り上げられることはあっても、全国版でこのような切り口では放送されない。(実はしているのかもしれないが見逃してしまったかも・・・)これをきっかけにもう少し『東北』について勉強してみようと思った。2013/01/21