出版社内容情報
増加する生活習慣病、拡大する薬剤耐性菌。その背後には抗生物質の過剰使用がある。魔法の薬はいまや諸刃の剣となって、私たちを「ポスト抗生物質時代」に陥れつつある。最新の科学的知見をもとに、その逆説を問う。
内容説明
拡大する薬剤耐性菌、増加する生活習慣病。その背後には抗生物質の過剰使用がある。撹乱され危機にさらされるヒト・マイクロバイオーム。万能の薬はいまや効力を失うだけでなく、私たちを「ポスト抗生物質時代」に陥れつつある。最新の科学的知見をもとに、その逆説の意味を問う。
目次
プロローグ―抗生物質がなくて亡くなった祖父母、抗生物質耐性菌のために亡くなった祖母
第1章 抗生物質の光と影
第2章 微生物の惑星
第3章 マイクロバイオームの世界
第4章 抗生物質が体内の生態系に引き起こすこと
第5章 腸内細菌の伝達と帝王切開
第6章 未来の医療
エピローグ―世界の腸内細菌を探しに
著者等紹介
山本太郎[ヤマモトタロウ]
1964年生まれ。1990年長崎大学医学部卒業。京都大学医学研究科助教授、外務省国際協力局勤務などを経て、長崎大学熱帯医学研究所教授、医師。専攻は国際保健学、熱帯感染症学、感染症対策(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
としちゃん
46
抗生物質の歴史と、新たに起こっている問題について書かれた本です。抗生物質の発見により、それまで助からなかった命が助かるようになったけれど、その一方で、体の中に常在している有益な菌も殺してしまう。体の中には何かの役割を担っている多くの菌がいて、抗生物質は、その共存関係を撹乱すると著者は懸念しています。抗生物質が必要な病気もあれは、飲まなくても治る病気もあり、飲んでも意味がない病気もあることを認識しておくことが大事かな。因みに、インフルエンザはウイルスなので、抗生物質を飲んでも意味がないそうです。2017/11/16
活字の旅遊人
16
タイトルから内容はある程度想像がつく。でも、一読の価値はあった。いや、大いにあった。抗生剤に限らず、医療、いや人類の文明そのものが問われている。今更あとには引けないのだけど。
はなよ
15
少し本を読んでいれば分かるぐらい基本的な事しか書かれていない上に、話がしょっちゅう脱線してただでさえ少ないページ数の中で表題について語られている事は少ない。 抗生物質について知りたいのなら他の本を読んだ方がいいと思った。2021/11/30
templecity
9
抗生物質で人類の命は随分助けられたが、近年抗生物質の取りすぎで肥満が問題になったりしている。家畜なども抗生物質を摂取させることで太るので大量に使われている。また抗生物質の過摂取で細菌に耐性ができて効かなくなってきている。自然分娩だと出産の際に乳児が口から母体の細菌を引き継いでいたのが帝王切開で引き継げなくなっている。チベットなど高地に住んでいる民族には未だ昔から引き継いでいる体内細菌が見つかることがあるということで研究も進んでいるとか。 2019/01/15
王子
8
著者の提言する、抗生物質の過剰使用の防止、微生物との〈共生〉は、偶然にも、ついこの前に読んだフロムの『悪について』におけるバイオフィリア的な人間のあり方にもつながるなあと思った。2018/10/10