内容説明
財団法人東京子ども図書館を設立、以後理事長として活躍する一方で、児童文学の翻訳、創作、研究をつづける第一人者が、本のたのしみを分かち合うための神髄を惜しみなく披露します。長年の実践に力強く裏付けられた心構えの数々から、子どもと本への限りない信頼と愛が満ちあふれ、読者をあたたかく励ましてくれます。
目次
1章 子どもと本とわたし
2章 子どもと本との出会いを助ける
3章 昔話のもっている魔法の力
4章 本を選ぶことの大切さとむつかしさ
5章 子どもの読書を育てるために
著者等紹介
松岡享子[マツオカキョウコ]
公益財団法人東京子ども図書館理事長。1935年神戸市に生まれる。神戸女学院大学英文学科、慶應義塾大学図書館学科を卒業。ウエスタン・ミシガン大学大学院で児童図書館学専攻ののち、ボルティモア市の公共図書館に勤務。帰国後、大阪市立図書館勤務を経て、自宅で家庭文庫を開き、児童文学の翻訳、創作、研究を続ける。1974年、財団法人東京子ども図書館を設立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あすなろ
74
題名どおり子供と本。そして、図書館について書かれた本。この大別して2つのテーマにつき両方共に興味深く読了しました。子供と本との出逢いは、幾らお金があったとしても図書館を選んだ方がいいし、実際そういう人がいる。子供の頃に本が楽しいと知った人は、いつかまた本に戻る。家族が本を愉しむ姿を見て育った子は本を読む様になる等表現も豊かでとても参考になった。また、米の図書館の選書委員会等の話と我が国の図書館との比較は興味深く示唆に富む。本好きの方、そして本好きて子育てや児童教育、書籍に関する仕事に就いている方にオススメ2020/08/10
杏子
58
子どもの本に関わる人はこの本を読んだ方がいいです。松岡さんの子ども時代の話から始まって、子どもと本の出会いを助けること、昔話のもつ力について、本の選書方法について、などなど参考になることばかりです。とくに、選書については、私も子どもの本を選ばせて頂いている立場であり、重く受け止めました。あらためて責任ある仕事として、幅広い選書につとめたい。最後の章では、現在の児童図書館員の現状について、今後の展望について、松岡さんの思いが伝わってきました。どれほどそうであればいいと思ったことか!つまされます。2016/09/22
さいたまのたぬき
47
子どもと本と図書館にずっと携わってきた松岡さんの本。 若き日に渡ったアメリカでの体験を始め、自分の体験に基づいた話のみならず、なぜ子どもたちに昔ばなしが必要なのか?を通してこどもにとって大事なものについて語っていく。また日本の図書館行政についての問題点にも言及していて、なぜ民間委託の図書館が問題なのか?がはっきりとわかる。 子どもの図書に関わる人だけでなく、子どもがいるかたにおすすめしたい1冊でした。2018/07/08
壱萬弐仟縁
42
読書はつまるところ代経験(20頁)。1951年、日本で初めて図書館学科が慶大に開設された(33頁)というのは知らなかった。失う能力は、読書のためには欠かすことのできない力、ことばをこころに刻む力、ことばに対する信頼、想像力を目いっぱい伸ばしてことばの奥に世界を創り出す力(85頁)。こういう発想は私になかった。図書館の座り屋さんとは、蔵書でも利用されていない本。書庫か廃棄という(183頁)。そういうものの潜在力を生かす努力を。2016/01/27
コジ
34
原則的には子どもが本に接する手助けをする大人へ向けて書かれている。図書館における児童向けのサービスを専門的に担う「児童図書館員」なる職業があることは本書で初めて知った。著者はその先駆け的な方で、児童文学(主に昔話)の研究は興味深い内容だった。また小さいお子さんのいるご家庭では気になる「読み聞かせ」、「子ども向けの選書」についても解説されている。本の内容を整理して重要な事柄を記憶するのが大人の読み方だとすると、物語に浸り想像力を使って自分だけの世界を作るのが子どもの読み方になる。後者の方が本を活かしている。2017/04/22