目次
第1章 推測的知識:帰納の問題に対する私の解決
第2章 常識の二つの顔―常識的実在論への賛成論と常識的知識理論への反対論
第3章 認識主体なき認識論
第4章 客観的精神の理論について
第5章 科学の目的
第6章 雲と時計―合理性の問題と人間の自由へのアプローチ
第7章 進化と知識の木
第8章 論理学、物理学、および歴史についての一実在論者の見解
第9章 タルスキーの真理についての哲学的論評
付録 バケツとサーチライト―二つの知識理論
感想・レビュー
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roughfractus02
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著者は独自の三世界論を進化論的に展開する。物理的な世界と意識の主観的知識の世界とデータでできた客観的知識の世界は、心身二元論の枠内にあるかに見える。が、人間や心なる概念を解体または越える可能性を世界3の自律性という設定が示唆し、著者の非決定論的で開かれた世界を形成する鍵となる。世界3は議論や対話の世界であり、それが主観的世界2への影響し、世界2によって物理的な世界3に及ぶ(この逆ももちろんある)。これらの関係を「雲と時計」に、仮説演繹からの帰納批判として「バケツとサーチライト」に譬えた啓発的な論文を収録。2017/02/23