丸善ライブラリー<br> 応用倫理学のすすめ

丸善ライブラリー
応用倫理学のすすめ

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  • サイズ 新書判/ページ数 193p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784621070468
  • NDC分類 150.4
  • Cコード C0212

内容説明

「他人に迷惑をかけない限り何をしてもいい権利」(自己決定権)によって個人の権利が守られている。しかしポルノグラフィー、代理母、自殺等に関して、個人が他人に迷惑をかけないとしても、社会の側が干渉したり、個人の自己決定権を制限してくるのは何故か。また、親が子どもを守るということは、子どもの自己決定権を認めることか否か。例えば子どもは何歳になったら親に内証で人工妊娠中絶をしてもよいのだろうか。新しい学問領域である「応用倫理学」がそれらの問いに解法を提示する

目次

1 個人の自律の倫理学(ヘアヌードと他者危害の原則;留学生射殺事件の無罪判決;エイズ患者のプライバシー)
2 親と子の世代間倫理学(子どもの名前と自己決定権;何歳になったら親に内証で人工妊娠中絶をしてよいか)
3 社会的共同性の倫理学(代理母は許されるか;安楽死と尊厳死;死刑廃止論)
4 強者と弱者の倫理学(セクハラで大事なのは使用者の責任;ハイテク社会と製造物責任法;公正の概念とアファーマティヴ・アクション;鯨は食べてよいか)

著者等紹介

加藤尚武[カトウヒサタケ]
1937年東京都生まれ。東京大学文学部哲学科卒業。現在、京都大学大学院文学研究科教授、日本哲学会委員長。2001年4月より鳥取環境大学・初代学長就任予定。専門は応用倫理学、環境倫理学、生命倫理学。79年哲学奨励山崎賞受賞。93年「哲学の使命」(未来社)で和辻哲郎文化賞受賞
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感想・レビュー

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柳田

9
田上先生の入門書に続いて、手元にあったものを読んでみた。難易度はがっと上がって、見た目よりけっこう読みにくいかと思ったのだが、Amazonレビューなどみると具体的でわかりやすい、とか書いてあって、みんな頭いいんだなと思った。確立した倫理学の原理なるものを現代の具体的な問題に適用していくのではなく、むしろ具体的な問題の考察を通じて原理論を洗練させてゆく。だから、「応用」ではない倫理学一般、みたいなもののイメージはやはり掴みにくい、というかそういうものなのだろう。宇佐美寛先生の本にちょっと似ていると思った。2018/03/15

tolucky1962

6
倫理学の基本、自己決定権「他人に迷惑をかけない限り何をしてもいい」だけですみそうで実は世の中そう単純ではない。誰がなぜその価値観で他に干渉するのか。子供の名前を決めるのは親の権利か本人に代わって決めているのか。社員の責任を会社がどこまで負うか。(これは政治家が秘書の責任にするのに通底)。製造物責任法の日米差で消費者が弱い立場になっていることも。マナーレベルと法レベルを分けず深まらない議論も興味深い。人工中絶、代理母、安楽死、死刑廃止論、鯨漁など具体的な話を挙げ、抽象論に終わらない倫理学で考えていく。2015/07/18

GX

5
自己決定権と判断能力、他者危害の原則なと、未成年だけでなくて、高齢者についても同じような視点で検討すべき課題があるように思いました。理解できない点も多かったですが、それでも勉強になりました。2018/03/09

タナカとダイアローグ

2
具体的事象の枠組みを確認し、どの立場から導かれる結論なのかを丁寧に説明していると思った。マイケル・サンデルの白熱講義みたいな。2022/11/06

にゃん吉

1
現実の事案から、問題の所在を見つけ、価値判断の基準を定立するという倫理学の思考過程が示され、興味深い。個々の事案は、時間は経過していますが、いずれも、結局自由と平等に関する問題で、事案に対する思考過程は、今でも十分に検討に値するものと思われます。著者が、代理母の章で、「権利とは、浅ましさを誰にでも認めようという建前である」と記しているのが印象的でした。だから素晴らしいとするか、問題だとするか、どのような立場に立つにせよ、自由と平等を考える上で、その意味をよく考えるべき言葉のような気がします。    

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