感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ドウ
4
アラブ・インド系マレー語話者(マレー人であると共にマレー人ではない)のアブドゥッラーの自伝。語学習得への欲求、ラッフルズを始めとした政治家・植民者の人物評などが、解説にある通りジャーナリステイックな視点から描写される。マレー人意識、マレー語への愛着(読者がマレー語を深く学べるように諺を数多く挿入している)が随所に窺える一方で、その2つが結び付くことによって生じる(はずの)ナショナリズムが未だ芽生えていないのが興味深い。彼にとって忠誠を誓うのは国家にではなく人にであり、思想の根源にイスラームがあるからか。2017/08/14