出版社内容情報
明治・大正・昭和の3代にわたる文学活動を通して、日本近代文学に・浪漫的・唯美的世界をもたらした泉鏡花のすべてを分析。谷崎潤一郎、三島由紀夫らによる作家論、川端康成、渋澤龍彦らによる作品論など多数収録。
「花あはせ」…川端康成/純粋に「日本的」な「鏡花世界」…谷崎潤一郎/鏡花ディスクール…寺山修司/近作短評…夏目漱石/他
内容説明
10歳で母を亡くし、雪深い北陸・金沢の地で、育て紡いだ、亡母憧憬のエロスと壮麗な幻想力。自然主義文学全盛に抗し、己の芸術的信条、“幻視こそが透視”以外の一切を拒み、今なお新鮮な親和力を発信し続ける鏡花文学の宇宙。
目次
泉鏡花アルバム
書下ろしエッセイ パリの泉鏡花
作家論(純粋に「日本的」な「鏡花世界」;水中花変幻 ほか)
同時代評(鏡花への手紙;『夜行巡査』 ほか)
鏡花氏の文章
生原稿で作品を読む『義血侠血』
基層(神隠しについて;病跡学から見た鏡花 ほか)
ひと
作品論
文学紀行 鏡花の原風景行―金沢・松任・辰口、春日野
交遊
生活
読む
観る
泉鏡花の作品
代表作ガイド
泉鏡花研究史大概
泉鏡花年譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
pico
15
これすごい!津島佑子(以下敬称略)をはじめ、谷崎、三島、川端、堀、種村、中島、日夏、徳田、金井、澁澤、河野、寺山、ジュサブロー、溝口などなど、超豪華な面々がそれぞれ鏡花について語っています。「先生の世界に現はれて来る美も、醜も、徳も、不徳も、任侠も、風雅も、悉く我が国士生え抜きのものであって、西洋の借り物でない」序盤の谷崎の言葉で今は亡き日本を想い涙する。夢想の芸術至上主義がつくりだした今は亡き日本は、文字にこめられ永遠に深く内へ内へとひろがる。2009/07/06
misui
2
鏡花について書かれた文章をあれこれ集めた本。いささか寄せ集め的で畑違いのものもあるので適宜飛ばして読んだ。論考もいいが当時鏡花と交流のあった人の証言がとても興味深い。今後は全集を読みつつ研究書など周辺の本にも手を広げていこうと思う。2010/10/08
jouwe
0
若桑みどり先生の文章がよかった2017/01/28