出版社内容情報
幼くして家長教育を受けた郷里香川での日.キリスト教に出会った一高時代.内務官僚の実務経験.ナチス批判と終戦工作.戦後初の東大総長として高くかかげた戦後改革の理想.「理想主義的現実主義者」南原が生涯追究したのは,共同体と個人との調和であった.近代日本の激動の歴史と切り結んだ政治哲学者の思想を綿密にたどる評伝.
内容説明
幼くして家長教育を受けた郷里香川での日。キリスト教に出会った一高時代。内務官僚の実務経験。ナチス批判と終戦工作。戦後初の東大総長として高くかかげた戦後改革の理想。「理想主義的現実主義者」南原が生涯追究したのは、共同体と個人との調和であった。近代日本の激動の歴史と切り結んだ政治哲学者の思想を綿密にたどる評伝。
目次
第1章 「我ガ望」―精神の原風景
第2章 新しい世界の発見―遍歴のはてに
第3章 理想と現実とのあいだ―内務官僚の時代
第4章 政治哲学者の誕生―晩学と独学とのなかで
第5章 ファシズム下の大学―「洞窟の哲人」として
第6章 現代と古典との往還―時代を撃つ学問
第7章 歴史のなかで―戦後改革の理想
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蘭奢待
20
以前から興味を持っていた人物。新書で見つけ購入。丸山真男が師事した南原繁。四国の貧しい母子家庭で武家式の厳しい躾を受けて育つ。東大では内村鑑三や新渡戸稲造の影響を受け、キリスト教に傾倒。世の中はファシズムによる国家主義、軍国主義となり戦争へ突入。終戦間近に東大総長へ。戦後日本を民主主義の国へと導きつつ平和志向が吉田茂とぶつかり、曲学阿世の徒と罵られる。平和主義、民主主義を、日本固有の文化の保存を叫び、信念を貫く立派な人物。その人物像が広くしられていないのは寂しいものがある。2018/11/03
ヤギ郎
8
戦後初の東大総長を務めた南原繁の人生と思想についてまとめた新書。南原の生き方を追いながら、彼が組み立てた政治思想(政治哲学)に接近する。「理想主義的現実主義者」という評価をされる南原は、戦後の日本をどのように見つめたのか。良書。2022/05/27
Ex libris 毒餃子
8
丸山眞男の師匠、戦後初の東大総長である南原繁の評伝。政治学者らしく現実主義者かつ理想主義者であったようだ。2021/11/29
あきら
5
戦後の日本教育の礎を築いた1人の人物史。内村鑑三の門下生としての無教会主義のキリスト教の学び、多くの経験、留学などを経て、個人自由主義から共同体論、カントやフィヒテと言った哲学を学び、政治哲学を体系化した。これほど教育に対して情熱的で、教育勅語的な教育を否定し、自主自律、ヒューマニズムを教育にと入りれようとした理想主義者。しかし彼の理想主義は現実的であり、その理想を現実にするための努力を惜しまない。その結果多くの功績を残してきた。彼の言葉「真理は最後の勝利者である」はまさにその理想を表した言葉である。2021/09/10
おらひらお
4
1997年初版。戦前・戦後を誠実に生きた理想主義的現実主義者の評伝と帯にありますが、やや美化されすぎのような気がします。個人的には南原繁の著作を読んだこともないので、何とも言えないのですが、対象者と全く関係のない著者による評伝のほうがよかったような・・・。ここでも宇垣一成が出てきます。天皇には嫌われていたのですが、知識人や国民には理解者が多かったようです。2013/02/09
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