岩波文庫<br> テーバイ攻めの七将

岩波文庫
テーバイ攻めの七将

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  • サイズ 文庫判/ページ数 92p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003210420
  • NDC分類 991
  • Cコード C0195

出版社内容情報

オイディプス王の呪いによってその息子たちエテオクレスとポリュネイケスとは王権を争い,殺し合うことが予言されているが,その予言は着々と実現され,いまテーバイ王エテオクレスは,テーバイ攻めの将の一人となった兄弟ポリュネイケスとの対決を迫られている…….神に呪われた悲運の王家の破滅的最後を壮大に描きあげる.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

150
アイスキュロスのこの劇は本来、『ライオス』、『オイディプス』(いずれも散逸)に続く3部作であったらしい。したがって、この作品だけを読むと、いささか物足りなさを禁じ得ない。劇の舞台はテーバイの都。今やアルゴス軍が7将を擁して街を包囲する。これをテーバイの王エテオクレースが迎え撃つのだか、そこには劇的葛藤の入り込む余地がほとんどない。彼はオイディプスとその母イオカステとの間に生まれた、呪われた存在であるからだ。神託が人々の運命を支配するという世界はいかにも古典的だが、それこそがギリシャ悲劇でもあるのだろう。2014/10/17

syaori

54
『テーバイ攻めの七将』というタイトルですが、中心となるのは攻め入られるテーバイの王エテオクレスの悲劇。父オイディプスから兄弟同士殺し合うようにとの呪いを受けた彼は、七将の一人で兄弟のポリュネイケスを迎え撃つ。作者が描くのは自らの運命を知る者の物語で、彼はポリュネイケスと戦うことは死を意味することを知っている。そして兄弟同士が殺し合う、その「穢れ」が永遠であることも承知して、彼は父の黒い呪いの成就に向かう。悲劇的なものと不条理を一身に受けながら自身の運命を選び取る、その姿に胸打たれずにはいられませんでした。2021/06/25

Tonex

36
物語の時系列としては、ソポクレスの『オイディプス王』『コロノスのオイディプス』のその後の話。オイディプス王亡き後の後継者争いを描いた作品。ただし作者はソポクレスではなくアイスキュロス。▼正直あまり面白くない。当時の人はこれが面白かったのだろうか? ▼戦闘シーンは報告者が見てきたことを言葉で説明するだけ。少ない役者と限られたセットで七将によるテーバイ攻めを舞台化するにはこうするより仕方なかったのだろう。演者の話術が上手ければ、それはそれで面白かったのかもしれない。2016/03/17

松本直哉

26
なだめて引きとめようとする合唱隊をふりきって、闘争意欲むきだしに兄弟同士の果し合いに向うのだが、あえなく二人とも死に、ここにテーバイの男系は途絶える。祖父のライオスが男子を生むことを禁止されたのに生んだのが悲劇の始まりだったことを思えば、三代にわたる骨肉の争いの根柢には、男系の血統だけを根拠に権力を握ることへの懐疑があった。中国古代、堯舜禹の禅譲のあと、世襲とともに堕落が始まったことを連想する。血統にしがみつき、兄弟同士争うことで国は滅ぶ。「反出生」を意味するアンチゴネという名前は血統の否定だろうか。2024/03/13

こうすけ

22
かなり面白かったー! イリアスを読んで以来、どれが神の名前でどれが土地の名前でどれが人の名前か、簡単に区別できるようになったので読みやすい。肉親同士の争い。殺すこと、殺されること、二重の苦しみを嘆く妹たちが良い。ここからソフォクレスの『アンティゴネー』につながるのかと思うとより感慨深い。2020/11/25

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