出版社内容情報
兵営の内務班は,陸軍刑務所帰りの木谷,大学出の曽田,獸性むきだしの古年兵など,多様な出身階層の人間を,兵隊という一つの鋳型にはめこんでゆく.そしてこの人工的な真空地帯では,残虐行為や不正が当然のように行なわれ,頽廃の極に達していた.大日本帝国軍隊の非人間性をヴィヴィッドに描いた記念碑的作品 (解説 杉浦明平)
感想・レビュー
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久守洋
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既に語られていることだが、「真空地帯」は何も内地の軍事基地ばかりでなくオフィスや学校にも容易に見出せるはずで、それが軍隊である必然性は全く無い。曽田が木谷に惹かれる経緯の描写も不十分で、傍から見たらただの反乱分子であって「真空地帯を打ち破る」人間だとは思えない。ドラマもあるにはあるが、とにかく退屈である。外地へむかうところで結末を迎えるが、むしろその後日譚が読みたかった。「戦争文学の傑作」などとは私にはとても思えない。2015/09/24
航志
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大西巨人『新生』『神聖喜劇』との併読必須2014/02/02